5月24日、土曜日o

主治医の許可が出たため、この日の午前中に退院したo
合計11日間の入院o
そして、産後4日目の退院o 
こんなにスムーズに事が運んだのは、やっぱりベビちゃんのおかげだo

入院中は、本当に悲しい思いをたくさんしたo
他の妊婦さんを見るのが辛かったし、赤ちゃんの泣き声が胸に突き刺さったし、
ひとり孤立していたし、夜は全然眠れなかったし、個室ではひとりずっと泣いていたo

出産した後に出された数種類のお薬の中に、


『母乳を止める薬』

というのがあり、それを飲む時は、どんなに苦しく悲しかったことか…o
こんなにも残酷な薬が存在するのかと思ったo
それでも、多少の母乳は出てきたりしてo
看護師さんに問題はないと言われたけれど、
身体がベビちゃんのために出そうとしているのだと思うと、泣けてきたo
そして、それを薬で止めなければいけない現実…o

そんな私を支えてくれたのが、看護師さんたちだったo
本当は、ひとりひとりにお礼を言ってまわりたいくらいに感謝の気持ちでいっぱいで、
今の自分に出来ることを考えた結果、お手紙を置いて帰ることにしたo
レターセットなんて洒落たものは持ち合わせておらず、
色々探したけれど、本当に何もなくて、病院からもらったプリントの裏側に書くという、
何とも失礼な形になってしまったのだけれどo
まぁ、それもご愛嬌でo
2008.05.27
ベビちゃんが燃やされてしまったo
悲しみと、絶望感と、喪失感でいっぱいになりながら火葬場から病室に戻ったら、
ベビちゃんを取り上げてくれた助産師さんが部屋にやって来たo
この助産師さん、何と私と同じ年!
でもすごくしっかりしていて、私の担当看護師さんで
「妊娠中は本当によく頑張ったよo」と褒めてくれたり、
「我慢しないでいっぱい泣いたら良いo」と言ってくれたりo
私のハイリスク出産を心配して、
「おーい、下から出てくるんやでーo」と、お腹のベビちゃんに話しかけてくれたりo
入院したての頃から、精神面をケアし続けてくれた人o


この日は私の部屋にやって来て、
「気丈にふるまっている姿が、最初からずっと心配だったo」と肩をさすってくれたo
人前で弱音をはけない性格を見透かされた気がして、
思わず泣いてしまったら、その人も一緒に泣いてくれたo

ベビちゃんが産まれて来た時のことをお話してくれたりもしたo
偶然にも、ベビちゃんが産まれてきた日は、この助産師さんが夜勤の日だったo
「ちゃんと私がいる時を選んで産まれてきてくれたんだねo」
と、ベビちゃんを褒めてくれたo
私もそう思ったo

「お尻がぷりんとしてて、すごく可愛かったんだよーo」ってo
「私だけ見ちゃってごめんねo」って笑って、その場の雰囲気を和ませてくれたりo
「お母さんが上手にいきんでくれたから、すごくきれいな形で出て来てくれたo」
って褒めてもくれたo
それから私たちはしばらく色んな話をして、私は胸にかかえていた思いを全て打ち明けたo

そしたらその人は言ってくれたo
2008.05.27
ベビちゃんと過ごす最後の夜o
面会に来てくれていた夫にお願いして、ほんの一瞬だけれど
私たち家族3人は、川の字になってベッドに寝たo
どうしてもしたかったことo願いが叶って嬉しかったo

お産後、私の体調が思わしくなかったため、
私は火葬場には行かず、病院で最期のお別れをする予定だったo
それでも行きたい気持ちはどうしても消えず、ぎりぎりまで悩んでいたo
近くならまだしも、往復2時間の距離だけに、
「無理はしたら駄目」という主治医の意見を思い出し、悩んで悩んで、悩みまくったo

ここで無理をして、万一私の身体に何かがあれば、私の身体に負担をかけないように、
一生懸命生まれてきてくれたベビちゃんの気持ちを踏みにじることになるo
でもその一方で、身体は多少負担がかかってしんどいけれど、
「あの時行けなかった」と一生後悔する方が、もっともっと苦しいんじゃないかという思いもあったo


5月22日、当日の朝o
看護師さんや主治医に相談し、私は急遽、行くことに決めたo
主治医も、外出許可を出してくれたo
喪服姿で病院に到着した夫は、なぜか自分と私の分の2つの数珠を持ってきていて、
「まゅりんこちゃんは、絶対に行くと言うと思ったo」
そう言って、私に数珠を差し出してくれたo
この人は、私が思っている以上に、私のことを解ってくれているのかもしれないo

それにしても、産科病棟に喪服というのは何とも不自然な光景だったo


看護師さんたちが、ベビちゃんの最期のお着替えをしてくれたo
今までは、身体にガーゼが巻かれていたのでお顔しか見れなかったけれど
この時初めて、私はベビちゃんの全身を見ることになるo
2008.05.27
朝が来たo
相変わらず後陣痛がひどく、寝返りも打てないほどの痛みだったo
生まれて初めての出産o 後陣痛がこんなにも痛いなんて、思いもしなかったo
出産後、子宮が元の大きさに戻ろうと収縮しているから痛いらしいo

隣のソファーでは、夫がスーツ姿のまま無理な体勢で寝ていたo
看護師さんが「赤ちゃん、連れて来ようか?」と聞いてくれたo
本当は彼とふたりで会いたかったけれど、夜に突然呼び出されて疲れていることだろうし、
もうしばらく寝かせてあげようと思い、まずは私ひとりでベビちゃんに会うことにしたo

看護師さんが両手で持ってきたのは、おくるみに包まれた小さなカゴだったo
どんな大きさなんだろう、どんなお顔なんだろう…o
ドキドキしながらの対面…o
2008.05.26

2008年5月20日、1時47分o

私は、産声を上げない、目を開けることもない、
小さな小さな赤ちゃんを出産したo



「1時47分よ!」助産師さんが、ぐったりしている私に言うo
疲労のあまり返事が出来ずにいると、 「1時47分よ!」と、もう一度言われたo
死産でも、時間って大切なんだなぁと思ったo
助産師さんたちが慌しく、ベビちゃんの身長や体重を計ったりしているo

心臓が止まっていることを除けば、
本当に、普通のお産と何も変わらない光景がそこにあったo


「抱っこする?」と聞いてくれたけれど、
私は首を横に振り、「落ち着いてからにします」と返事をしていたo
まだこれで終わりではないo
先生にも「あともう一つ、大仕事がありますo」と言われたo
次は、問題の大きな胎盤を出さなくてはならないo
その大仕事を前に、元気な我が子ではない、
呼吸をしない我が子を、このタイミングで抱っこする勇気がなかったo
でも正直、今となっては、あの時抱っこしてあげればよかったと少しの後悔が残るo
亡くなっているけれど、生まれたての我が子をo
2008.05.26