ワタルくんは、とにかくまっすぐで可愛い人。
私はミスチルが好きだーって話したことがあるのだけど、
ある時会った時に、発売したばかりのミスチルのアルバムを
「買っちゃった♪」って、すっごい嬉しそうに私に見せるんだよ。

それでね、私は○曲目の歌が好きなんだって何気なく話したのに、
次会った時にワタルくんの車に乗ると、ちゃっかりその曲がかかってて。
「すごいすごい、わざわざこの曲に合わせてくれてたの?」って聞いたら、
「違うよ、リピートでこればっか聞いてるねん。」とか普通にこたえるんだもん。
どこまで進んでも、どれだけ景色が移り変わっても、
本当にその曲がずーっとかかっていたから、笑えちゃった。

ワタルくんとは随分とドライブして、
その時はミスチルとコブクロを聴くことが多くて、
だから今でも、その時に聴いてた曲がふと耳に入ったりすると、
私の胸はきゅーってしめつけられて、切なくて苦しくなる。
ミスチルも、コブクロも、ワタルくんとの思い出そのものだから。


「やわらかい風」という歌、知ってますか?
これが流れてきた時に、ワタルくんがそっとつぶやいたんだよね。
「俺はこれが好きやなぁって。」
これを聴くと私を思い出すんだって。
その時は正直、あまり意識してなかったけど、
今になってこの歌詞をちゃんと聴いてみると、涙が出てくる…。
ワタルくんの愛が大き過ぎて、優し過ぎて、
それに気付けなかった自分が悔し過ぎて。



中でもこの部分の気持ちがすごく分かる!って、そう言ってたの。

君が抱いてた 悲しみ 寂しさ もどかしさ
何もしてやれなかったな それが悔しかった
もっと大きな器で もっと優しくて
そういうボクなら 君を救えたろうな




十分なのにね。
ワタルくんはいつだって、もう十分過ぎるくらいに
私を助けてくれて、支えてくれて、守ってくれてた。


ワタルくん、今は逆だよ。
私はこの曲を聴くたびに、ワタルくんのことを思い出してます。





歌詞ときれいな画像付きで、オススメです。
私のせつない思い出話は、この曲で終わりにしたいと思います。
お付き合い、ありがとうございました。

http://www.youtube.com/watch?v=SZcJRZTIK68


2010.07.22
2009年5月、元夫と別居するようになったちょうどその頃、
ワタルくんに彼女が出来たことを知った。

ワタルくんは、いつも私に言っていた。
私は、ワタルくんの中では申し分のない女性で、
他のどんな女性と知り合っても、私を超える人はいない。
常に私と比べては、まゅりんこちゃんの方がいいって、そう思ってしまう。
この先、まゅりんこちゃんを超える人がいなかったどうしようって、
とても不安になることがあるって。

そんな事を長らく言い続けてくれたワタルくんに、ついに彼女が出来た。
そして私は、ワタルくんが“誰かのモノ”になって初めて気付いたのだった。
彼が、私にとってどれだけ大切な存在だったのか…。



私は、決めた。
ワタルくんは、私にとってとてもとても大切な人。
だから、彼の幸せを心から祈ろう。
彼女といることで幸せでいられるなら、その恋を応援しよう。
だけどもし、その恋に終わりが来る日があるとしたら…、
その時は、私からワタルくんに伝えよう。
今度は、私からお願いしよう。
やっと気付いたよって、そう伝えようって心に決めていた。











けれど、そう決意して間もない頃。
ワタルくんが、その彼女と結婚を決めたことを知った。


交際して半年でプロポーズ。
もともと、ワタルくんは結婚願望が強かったもんなぁ。
素直に、彼女さんが羨ましいと思った。
あんなに一途に、たった一人の女性を愛せる男性は他にいないし、
あんなに家庭に向いている男性も珍しい。
絶対に絶対に、奥さんを幸せにするに違いない。

たぶん私は、気付くのが遅かった。
そして、二人のタイミングは見事にズレてしまった。
ご縁がなかった、と言えばそれまでなのかもしれないけれど、
そんな簡単には割り切れなくて。
彼の結婚を心から喜べない自分は、どう頑張っても消せなかった。

きっとワタルくんも、ずっとこんな思いでいたんだろう。
自分とは違う男性と恋愛している私を見てきて、
自分とは違う男性との子を妊娠した私を見てきて、
自分とは違う男性のお嫁さんになった私を見てきて。

ワタルくんは、こんなにも苦しかったんだね。



2010.07.21

私には2本の道があったあの時、
自分の選んだ道が本当に正しかったのだろうかと、
そんな事をふと考えることが増えるようになった。

とは言え、もしもワタルくんと一緒になったとすれば、
それはそれで欠点がたくさん見えてきたりするもので。
人間なんて、所詮そんなものだというのは分かっているけれど。

ただこれだけは、言い切れる。
ワタルくんは、絶対に私を傷つけるような事はしなかったはずで。
安静生活中の妊婦の私を、
死産後、精神不安定になっていた私を、
夜にひとり家に置いて出かけるようなことはしなかっただろうし、、
理解し辛い天使ママの気持ちを、何とか理解しようと努力し、
あらゆる手を尽くして、私の気持ちに寄り添おうとしてくれたはずだ。
ワタルくんがそういう人であることは、私が一番知ってるもの。

家庭にはきちんとお金を入れてくれただろうし、
外で女性を作ることも絶対にせず。
子供を亡くして、悲しみのどん底にいる私が、
何とか立ち直るまで、一緒に苦しみながら乗り越えてくれたはずだ。


恋は盲目とはよく言ったもので。
なぜあの時、周囲がワタルくんにすべきだと声をそろえて言ったのか。
本当の優しさとか、本当の愛とか。本当の意味でのイイ男とか。
人生において、本当に大切なものは何なのか。
夫の裏切りや、結婚生活中ずっと抱いていた疑惑が明らかになった時に、
私はやっと、それらに気付くことになった。




2010.07.20

私は、Aさんと結婚した。
そして皆さんもご存知の通り、2人の子供を亡くした。

永遠くんがお腹にいる間、絶対安静の厳しい日々が続き、
いつ亡くなってもおかしくない危険な状態であることを知っていたワタルくんは、
わざわざ安産のお守りを買っていてくれたらしい。
いつか渡したい、そう言ってくれていたけれど、
結局受け取ることも出来ないままに、永遠くんは天国に行ってしまった。

ワタルくんと私には、唯一共通の友人Tちゃんがいるのだけど、
「まゅりんこちゃんみたいなイイ子が、
どうしてこんな目に合わないといけないのか。」って、
電話で話をした機会に、ふたりして私を想って涙していたらしい。
という話は、随分と後になってからTちゃんから聞いた。

結婚してからは独身時代のように、
ワタルくんと頻繁に連絡を取ることはなくなったけれど、
それでも時々メールが届いた。



永遠くんの月命日に、温かいメールをくれることもあった。



父親である夫でさえ、
月命日であることを忘れているであろうそんな日に、
ワタルくんは、妊娠生活と出産を頑張った私にねぎらいの言葉をかけてくれ、
永遠くんへの想いも綴ってくれ。
もしかしたら夫は月命日を忘れていたわけではなく、
ただそういうのを口に出さないタイプだけだったのかもしれないけれど、
私は、言葉にして表現してもらうことに幸せを感じる人間なのだ、
ということを、やっぱりワタルくんは解かってくれていたのだと思う。

私だけでなく、永遠くんのこともとても大切に想ってくれていて。
私はそれがとても嬉しかった。
一度はこの子の父親になる決意までしたわけだから、当然かもしれない。



2010.07.20

私はAさんとの話の中で、お腹の子は諦めないと譲らなかった。
そんな日が何日が続き、私の頑固さに根負けしたのか、
Aさんはやっと結婚を決意してくれた。

私はそれを報告するためにワタルくんに会った。
例えるならば、V6のイノッチみたいにいつも穏やかなワタルくんが
その日は似合わずとても深刻な顔をしていて。
ついに感情が高ぶって運転が出来なくなってしまったのか、
急に路肩に車を止めると、







「何で俺じゃ、ダメなん?」




弱々しい声で、そう私に聞いてきたのだ。
突然の質問に少し言葉をつまらせていると、






「俺、絶対幸せにするで…?」




ワタルくんはそう言うと、泣き崩れてしまった。
彼が私に触れたのは、これが最初で最後。
少し遠慮気味に、助手席の私の右肩にもたれながら、大泣きした。

ワタルくんは言った。
Aさんじゃ私を幸せに出来ないと。
俺がまゅりんこちゃんを好きだから、悪く言うわけじゃない。
本当にまゅりんこちゃんを大切にしてくれる人なら
俺も潔く諦めるけど、でもそうじゃないから…と。
それでも私はAさんが好きで、Aさんと家族になれることが嬉しくて。





「ごめん…。」


私も、泣きながら謝ることしか出来なかった。

私の方が聞きたいくらいだった。
なんでワタルくんじゃ、ダメなんだろう。
こんなにも素敵な人は他にはいないのに。
こんなにも私を大切に思ってくれる人は、他にはいないのに、
なんで、ワタルくんじゃダメなんだろう。




2010.07.17